正しい視力の管理と近視の進行防止について
近視になる原因には大きく分けて「遺伝要因」と「環境要因」があります。
強い近視は「遺伝要因」の影響が大きく、軽度の近視は「環境要因」が強いと考えられています。
もちろん、両方が関与する場合もあります。
Q1.なぜ環境要因で近視になるのでしょうか?
目の水晶体は近くを見るときはふくらんで厚くなり、遠くを見るときは薄くなってピントを調節します。この調節の元は水晶体の周囲に毛様体筋という筋肉が緊張したり、ゆるくなったりして水晶体の厚さを変えます。近くを長時間見続けていると、毛様体筋の緊張が高まったままの状態が続くために、水晶体がふくらんだままになります。これが近視の始まりです。
Q2.近視を防ぐにはどうすればよいでしょうか?
ピントの調節をしている毛様体筋の緊張による近視症状を仮性近視(調節麻痺)と呼び、この状態の内に目薬や訓練等の治療を行えば本物の近視になるのを防ぐこともできます。仮性近視の訓練は、強制的に近くから遠方を見させることにより毛様体筋の緊張をとる目的で行われています。仮性近視治療の専用機器(ワック)を用いて当院で1週間に1回~2回程度行います。
Q3.普段の生活で注意することは?
本を読んだり勉強するときは姿勢を正しく保ち、30cm離して読み、寝転んで読んだり乗り物の中で読んだりしないようにしましょう。テレビやテレビゲームは1日に30分以内にし、休憩の時、出来ることなら遠くの景色を見ましょう。屋外で遊ぶのもよいでしょう。携帯用の小さな画面のゲーム機も長時間毛様体筋を緊張させ、あまりよくありません。食べ物は好き嫌いをなくし緑黄色野菜や果物などバランスの良い食事を心がけましょう。
Q4.近視になってしまったら?
最近の学校保健統計調査では小学生の1/4、中学生の1/2が裸眼視力1.0未満となっており更に低下傾向が続いています。現代の日本人は近くを見る生活が増え、一概に近視を「眼が悪い」とは言えないかもしれません。黒板が見えにくくなってきたら、そろそろ眼鏡をかけることを考えましょう。(一般に小学生では裸眼視力が0.5~0.6以下、教室の一番後ろから黒板の字を見るには0.7以上の視力)ただし、視力の値のみで眼鏡の必要性の判断は難しいため医師にご相談ください。
当院で行っているワック(仮性近視治療の専用機器)の原理
・美しいカラー立体風景を5分間見るだけで、遠くの景色を長時間見つめるのと同じ効果が得られます。
・機械の中の風景は自動的に遠くへ(水晶体を薄くする)行ったり、近づいたり(水晶体を厚くする)して水晶体の運動をさせます。
・光源が点滅しますので瞳孔反応によって目の疲れをとります。
・視標を見る目は両眼ともまっすぐ前方を見ますので、読書などで内によせられた視線が平行になります。